「このチーム、あそこには昔から勝てない」——サッカーを見ていると必ず出てくる話です。toto予想でも、過去の対戦成績を持ち出して「相性が悪いから」と判断する場面をよく見かけます。では、その相性は本当に存在するのでしょうか。Jリーグの過去1万試合を使って検証しました。結論から書くと、見つかりませんでした。
「相性」を正しく測るのは意外と難しい
過去の対戦成績をそのまま見ても、相性を測ったことにはなりません。
たとえばAがBに5戦4勝だったとします。しかしAがリーグ上位でBが下位なら、それは単にAが強いだけです。相性でも何でもありません。
知りたいのは、そこから一歩進んだ話です。
チーム全体の実力から予想される結果と比べて、この組み合わせだけ特別なズレが出ているか
これが「相性」の正体であるはずです。強さで説明できる部分を取り除いた、残りの部分ですね。
検証のやり方
まず、Jリーグの全試合結果(2016年以降・10,876試合)から、各チームの攻撃力と守備力を推定するモデルを用意しました。このモデルは「AはBから何点取れそうか」を計算できます。
そのうえで、各カードについて次を比べます。
| 内容 | |
|---|---|
| 期待得点 | チームの実力から計算される、そのカードでの想定得点 |
| 実際の得点 | 過去の対戦で実際に取った得点 |
この2つが毎回ずれているなら、それは相性です。ずれ方がバラバラなら、ただの偶然です。
重要な点として、対戦数が少ないカードほど「相性なし」に近づける処理を入れています。2回しか当たっていないカードのズレは、ほぼ偶然だからです。
また、検証はすべてその試合より前のデータだけで行いました。未来の結果を見て後から辻褄を合わせることがないようにしています。
結果:効果はゼロだった
検証対象はJリーグ同士の1,462試合。うち1,309試合(90%)で過去の対戦データが使えました。相性をどれくらい信じるかを4段階で変え、予想の精度を比べます。
| 相性をどれくらい信じるか | 1試合あたりの的中率 | 予想精度の変化 |
|---|---|---|
| まったく使わない | 46.7% | — |
| 少し使う | 46.8% | ±0.0000 |
| 半分信じる | 47.0% | −0.0003 |
| そのまま信じる | 46.9% | −0.0017 |
変化がありません。それどころか相性を強く信じるほど、予想は悪くなりました。
的中率だけ見ると「半分信じる」が47.0%とわずかに高く見えますが、予想精度の指標は悪化しています。片方だけ良くなるのは偶然のブレで、本物の改善なら両方が揃って良くなるはずです。
なぜ相性は見つからないのか
使える情報は、すでに実力に含まれている
過去の対戦成績のうち予測に役立つ部分は、チームの実力を測った時点ですでに吸収されています。浦和が横浜FMに勝ち越しているとして、その理由が「浦和が強いから」なら、それは実力の話です。残りカスとして「特別な相性」が出てくるかを調べたのが今回で、そこには何もありませんでした。
サッカーは点が入らなすぎる
1試合の得点は平均して2〜3点です。この少なさでは、偶然の影響が非常に大きくなります。同じカードの過去10試合程度では、相性と偶然を見分けられません。「相性を強く信じるほど悪化した」という結果は、まさに偶然を拾ってしまった証拠です。
チームは数年で別物になる
5年前の対戦成績を持ち出しても、当時の監督も主力選手もほとんど残っていません。「あのチームに弱い」という印象だけが、実体を離れて語り継がれている面があります。
ついでに調べた2つも空振りでした
同じ枠組みで、他にもよく語られる要素を検証しました。
| 調べたこと | 結果 |
|---|---|
| 同じカードの相性 | 効果なし |
| ホームの強さはチームで違うのか | 効果なし(全チーム一律で十分) |
| 直近の調子(連勝・連敗) | 効果なし |
「ホームに滅法強いチーム」も、300試合分のデータでは実在の証拠が出ませんでした。ホームアドバンテージは全チームおしなべて約1.15倍で、それ以上でも以下でもありません。
「調子」も同様です。連勝は結果であって、次の試合の予測に使える情報ではありませんでした。
では、何が効くのか
空振りばかりでしたが、確かな効果が確認できたものもあります。
| 要素 | 効果 |
|---|---|
| 投票率の偏りを補正する | あり(本命は過大評価されている) |
| 攻撃力・守備力・ホーム優位 | あり(統計的に有意) |
| 相性・個別のホーム補正・調子 | なし |
つまり基本に忠実な要素だけが効くということです。攻撃力・守備力・ホーム優位という素朴な3つで、過去の試合結果から取り出せる情報はほぼ取り切れています。
まとめ
- 同じカードの「相性」は、1,309試合分の対戦データで検証して効果ゼロだった
- むしろ強く信じるほど予想は悪化した。偶然を拾ってしまうため
- ホームの強さの個人差、直近の調子も同様に効果なし
- 効くのは攻撃力・守備力・ホーム優位という基本要素だけ
予想を組み立てるとき、過去の対戦成績を眺めたくなる気持ちはよく分かります。しかしそこから得られる情報は、チームの実力を見た時点でほぼ手に入っています。「相性が悪いから」という理由で買い目を曲げるのは、根拠が薄いと考えたほうがよさそうです。
当サイトの予想では、この検証結果にもとづき、相性・調子・個別のホーム補正はいずれも使っていません。使っているのは投票率の補正と、1万試合から推定したチームの実力だけです。
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