引き分けは見分けられるのか|toto627試合で3つの説を検証した

どの切り口で分けても引き分けの割合は2〜3割で変わらなかった

前回の記事で、引き分けについてひとつ分かったことがありました。引き分けは全体の27.8%で起きているのに、票は22.6%しか集まらない。買い手は引き分けを買い足りていない、ということです。

ならば次に知りたいのは当然、これです。

どの試合が引き分けになりそうか、事前に分かるのか

「実力が近い試合」「両チームとも守備的な試合」——見分け方はいくらでも語られています。当サイトに貯まっている627試合ぶんの投票率と結果で、実際に確かめました。結論から書くと、見分けられませんでした

まず、引き分けの割合はとても安定している

検証の前に、土台となる数字を押さえておきます。

調べた範囲 試合数 引き分けの割合
toto対象の試合 627 27.8%
Jリーグ全体(2016年以降) 10,909 25.8%
WINNER対象の試合(2026年3〜8月) 726 26.4%

別々に集めた3つのデータが、そろって26〜28%に収まりました。さらに細かく見ても崩れません。

区分 引き分けの割合
J1 25.2%
J2 27.2%
J3 24.6%
年ごと(2016〜2026年) 23〜27%

カテゴリが変わっても、年が変わっても、引き分けはだいたい4試合に1試合。この安定性は、あとで効いてきます。


検証1:引き分けに票が集まった試合は、引き分けやすいか

いちばん素直な仮説です。「みんなが引き分けそうだと思った試合」は本当に引き分けやすいのでしょうか。

627試合を、引き分けの投票率が低い順に3等分しました。

グループ 引き分けの平均投票率 実際に引き分けた割合
低い 15.4% 30.6%
中くらい 23.3% 25.8%
高い 29.2% 26.8%

票がいちばん集まらなかったグループが、いちばん引き分けています。順番が逆です。

ただしこの差(3.8ポイント)は、各グループ209試合という数では誤差の範囲です。逆向きの傾向がある、と言い切れるほどではありません。正確には何の関係も見えないということになります。

言い方を変えると、引き分けの投票率が15%でも29%でも、実際に引き分ける確率はどちらも27%前後。票は引き分けの起こりやすさを言い当てていません


検証2:拮抗した試合は、引き分けやすいか

次はよく聞く説です。「力が近いから引き分ける」。ホームとアウェイの投票率の差を、その試合がどれだけ拮抗して見えるかの目安として使いました。差が小さいほど互角ということです。

ホームとアウェイの票差 試合数 引き分けた割合
10ポイント未満(互角に見える) 73 21.9%
10〜20ポイント 88 25.0%
20〜40ポイント 183 27.9%
40ポイント以上(一方的に見える) 283 30.0%

ここでも予想と逆でした。互角に見える試合のほうが、引き分けが少ない。一方的に見える試合のほうが、むしろ引き分けています。

ただしこれも、73試合と283試合の比較で8.1ポイントの差。統計的には偶然で説明がつく範囲です。「拮抗すると引き分けやすい」は支持されなかった、というのが正しい結論になります。


検証3:本命が堅い試合は、引き分けにくいか

最後に、1番人気にどれだけ票が集まったかで分けました。

1番人気の投票率 試合数 引き分けた割合
40%未満 60 21.7%
40〜50% 156 28.8%
50〜60% 154 24.7%
60〜70% 126 31.7%
70%以上 131 29.0%

上がったり下がったりするだけで、方向がありません。3人に2人以上が本命を支持した試合でも、29%は引き分けています


なぜ見分けられないのか

引き分けは「弱いチームが健闘した」結果とは限らない

引き分けの内訳を見ると、理由が見えてきます。

引き分けのスコア 引き分け全体に占める割合
1-1 46%
0-0 32%
2-2 18%
3-3以上 3%

引き分けの約8割は1-1か0-0です。そしてJリーグでいちばん多いスコアは、全試合の11.9%を占める1-1でした。

これは「拮抗した試合で競り合った末の引き分け」ではありません。強いチームが1点しか取れなかっただけの試合が、大量に含まれています。1試合の平均得点は2.5点前後しかないので、強いチームでも「今日は1点」という日が普通にあるのです。

1点入るか入らないかは、ほとんど運

強さの差は、90分をならせば得点の期待値に効きます。しかし1試合という単位では、期待値どおりには入りません。0-0のまま終わるか、1点入って1-0になるか。この分かれ目は事前に読めるものではありません。

だから「どの試合が引き分けるか」は分からないのに、「全体の何%が引き分けるか」は驚くほど安定する。今回の結果は、この構造をそのまま表しています。


では、どう買うか

1. 見分けようとしない

3つの切り口すべてで手がかりが出ませんでした。「この試合は引き分けそう」という直感には、データの裏づけがありません。特定の試合に狙いを定めるのは分が悪い、ということです。

2. 代わりに、割合で入れる

見分けられなくても、割合が安定していることは分かっています。ここが使いどころです。

13試合のうち引き分けは平均3.6試合。それなのに、買い手全体の引き分けへの投票は22.6%しかありません。特定の試合を当てにいくのではなく、買い目全体に引き分けを一定の割合で混ぜておく。これが票の偏りを利用する方法になります。

3. 引き分けが多い回は、そもそも誰も当てていない

最後に、配当の話です。totoの1等が出た回と出なかった回を、その回の引き分けの数で分けました。

13試合中の引き分けの数 回数 1等が出なかった回 1等が出た回の当せん金(中央値)
0〜3試合 22 7回(32%) 832万円
4〜5試合 14 6回(43%) 2,857万円
6試合以上 6 6回(100%) 該当なし

引き分けが6試合以上あった回は、6回すべてで1等が出ていません。全員が外して、次回に繰り越されています。

引き分けが4〜5試合の回でも、当たった場合の当せん金は2,857万円。引き分けが少ない回(832万円)の3倍以上です。

つまり引き分けは、当てにくいぶん配当が大きい目ということです。買い手が引き分けを避けている以上、引き分けが増えた回ほど的中者が減り、分け前が大きくなります。


まとめ

  • 引き分けの割合は26〜28%で驚くほど安定している。リーグが変わっても年が変わっても動かない
  • しかしどの試合が引き分けるかは、事前に見分けられなかった。投票率・拮抗度・本命の堅さ、どれも手がかりにならない
  • 「拮抗した試合ほど引き分ける」は支持されなかった。むしろ逆向きの数字が出た(ただし誤差の範囲)
  • 引き分けの8割は1-1か0-0。強いチームが1点しか取れなかっただけの試合が多い
  • 引き分けが6試合以上あった回は、6回すべてで1等が出ていない

狙って当てにいく目ではなく、一定の割合で混ぜておく目。引き分けとはそういうものだ、というのが627試合を見て得た結論です。

当サイトの予想では、引き分けの過小評価を補正した上で買い目を組んでいます。特定の試合を「引き分けそう」と判断しているわけではなく、全体として引き分けが不足しないように配分しています。


あわせて読みたい:1番人気は本当に強い? toto投票率520試合を調べて分かったこと同じカードの「相性」は存在するか|Jリーグ1万試合で検証した